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平成18年度上半期 阿寒クラブ本州視察
 
作成者  鶴間 秀典
 
期間 5月22日(月)〜30日(火)
行程 釧路空港〜岐阜県高山市〜立山黒部アルペンルート〜長野県飯山市〜
   野沢温泉村〜一ノ瀬〜群馬県日光尾瀬国立公園〜東京
   (個人視察のため3日間滞在)
 
岐阜県高山市 観光バリアフリー(23日)
 午前中に高山市役所を訪問し、飛騨高山の観光ホスピタリティーについて観光課の方にお話をお伺いしました。高山市は飛騨高山の通称をしつこいほどいろいろなものに付け、みんなで協力して飛騨高山という名前自体をブランド化している。合併して面積が日本一の市となり、人口は9万6千人でいろいろな自然環境を併せ持っています。主力の観光産業は年間425万人(H17)の観光客を迎え入れ、海外からも9万人と他の観光地よりも多く、まさに日本を代表する観光地である。
 総務省の前身、自治省出身の新市長になってから、観光バリアフリーを積極的に進めている。内容は、まず障がい者や高齢者のための道路段差バリアフリー。車道と歩道の段差を2cm以下にしたり、障害者団体のツアーを企画し、交通費を負担する代わりに町のバリアフリーに対して感想を報告してもらったりしながら、国の方針のさきがけをしながら進めている。また、外国人のためのバリアフリーとして、看板やホームページ、パンフレットなどの表記を多言語対応にしている。こういった取り組みは障がいを持たない日本人の観光客などにも温かみを与えている気がする。実際に私も町を歩いてみたが、観光で回る箇所は段差がなく、なんとも歩きやすい。歩行者が車道にはみ出すことも多い分、運転手のマナーもすこぶるいい。現に交通を妨げてもクラクションを鳴らす人は1人もいなかった。このバリアフリー運動は住民にもしみわたっているらしく、これがホスピタリティーの原点になっているのではないか、と私は感じました。
 
車道と歩道が一体となった道路 観光案内人のガイドで歩く町並み保存地区
 
 午後は地元のシルバー人材センターの方が「観光案内人」として高山市内の伝統的建造物群を有償ボランティア(3,150円で2〜4時間)という形で案内してくれました。伝統的建造物群は今でこそ条例化され保護されていますが、その前までは地元住民の協力と意思によって代々受け継がれてきたもので、それが今日本を代表する観光地の礎となっているのだと思います。建造物群にはお土産屋や神社仏閣も多数あり、そのまま歩いてもかなりいいところではあると思いますが、観光案内人の「わが町を知ってもらおう」という気持ちとともに丁寧な説明を聞きながら歩いたので、我々が受けた印象は格段によかった気がします。伝統的建造物群は真似できませんが、観光案内人はぜひ取り入れて行きたいものだと思います。
 その後、飛騨民族村・飛騨の里という白川郷のような合掌造りの集落を一箇所に集めて保存し、観光用に開放している場所に行きました。運よくそこでもボランティアガイドの方に出会い、説明を聞きながら案内していただきました。昔の人の生活様式を垣間見て、改めて昔の人の生活の知恵と木造建築技術の高さなどを知ることができました。
 
立山黒部アルペンルート (24日)
 視察というかほぼ観光でしたが、立山黒部アルペンルートを目に焼き付けさせてもらいました。アルペンルートは高度経済成長の最中、電力不足を解消するため、北アルプスの山々をぶち抜いて川を堰き止め黒部第四ダム(通称:黒四ダム)を建設した際の作業用道路やトンネルを観光用に開放している場所ですが、古くからスキー客や登山客でにぎわってきました。私としても今まではテレビでしか見たことのなかった5mを超す雪の壁や巨木など、本当に一緒に一度は行きたい感動的な場所でありました。北海道だけでなく本州にも圧倒的な自然は残っているということを認識しました。
 
雪上車をバックに記念撮影 私の背丈の2倍はある雪の壁
 
長野県庁 コモンズハウス(宅幼老所)支援事業
 予定より早く長野市に到着したため、田中知事の改革で有名な長野県庁におじゃましていろいろ質問はあったのですが、コモンズハウスについて時間の許す範囲で質問させていただきました。聞きなれないコモンズという言葉ですが、いろんな政策から察するに、「住民との連携」というような意味合いだと私は解釈しました。内容ですが、宅幼老所です。これをNPOや民間事業者などで立ち上げる際に市町村が支援を行う際は、県が2/3、市町村が1/3で県500万円を限度に補助する、というものです。年々補助実績は増えてきており、地域福祉抱える問題に柔軟に対応しているとのことでした。平成18年度から小規模多機能型の施設が介護保険適用施設となり、認知されたわけですが、これを平成14年度から先行してやっていた、ということになります。すごいですね。
 こういった住民の力を借りる政策を打ち出していける田中知事はすごいといえます。長野県では他の政策として、入札改革、公共事業改革、外郭団体の見直し、財政改革推進プログラムなどを行っています。
 
長野県飯山市 移住政策 (25日)
 飯山市は首都圏からの長野新幹線の開通もあり、一時はスキー客などで賑わいましたが、現在は閉鎖が相次ぎ、高齢化とともに離農が進み、農地の荒廃も多く見られるそうです。そこで、農協が主体となって、離農し空き家となった家に農地をつけて販売し、移住者受け入れの方策を展開していました。空き家が出たら募集をするという進め方のため、募集は思ったより少なく、今後は縮小の方向である、といっていました。実際に移住した方にお話をお伺いしましたが、地元に住んでいた住民の方と折り合いが合わず、行政への苦情も絶えませんでした。地元住民とのネットワークが移住には大切なんだと痛感しました。無理な移住は難しいですね。
 私は移住政策よりも、飯山市に山歩きの道(トレッキングロード)がたくさんあるのに目を惹かれました。いろいろなトレッキングロードがパンフレットで紹介されていましたし、その中には他の市町村と一緒になってPRしている、「信越トレイル」という全長45kmものコースもありました。今後どのように評判になっていくか興味津々です。
 
長野県野沢温泉村 スキーと野沢菜の王国
 小さな村なのに驚かされることがいっぱいでした。村に入ってすぐ思ったのは湯気がいたるところで上がっていること。排水溝のようなところを温泉が流れていました。無料で開放されている温泉がいたるところにあり、観光客もいつでも入浴できるということでした。  一緒に行った松岡さんの知り合いのおかげで、スキー場やスキー博物館を案内していただきましたが、村ぐるみでスキーに取り組んでおり、そこからは多くのオリンピック選手を輩出していることもあり、話題は世界でした。子供たちの目標はオリンピックに出場することではなくて、オリンピックで金メダルをとること、という一見はてしのない目標ではありますが、この村にいればできてしまいそうな気がしました。現に見学中も、元オリンピック選手に2人も会いました、普通なかんじで。
 ただスキー全体の衰退とともに、今まで公営企業で運営していたスキー場が売り上げの激減で民間で運営することになったのも現実でした。ジャンプ台やクロスカントリーコースなどいろいろな設備はありましたが、それらの維持管理が重くのしかかってきている、ということでした。がんばってほしいですね。
 
いたるところにある公共の温泉入浴場 スキーの歴史が展示してあるスキー博物館
 
長野県志賀高原 一ノ瀬地域の自然保護
 ここは山本教雄さんという1人の自然を愛する人が、スキー場開発の荒波の中で進出してくるホテルなどの企業にしっかりと自然と調和した最低限の開発を進めた、という地域です。
 川にすむ岩魚などを大切に思い、その環境を守るために川の漁業権を取得し、ホテルなどに自費で下水道の週末処理施設を建設させたとこや、道を作るときに従来あった表土を保存しておき、それを建設後にかぶせていく表土復元、などなどその手法は高く評価されているとのことでした。
 それを聞いた時、私は思わず前田光子さんを思い出しました。人と自然との調和が結局は今の一ノ瀬の魅力になっているのだと思いました。
 
群馬県尾瀬岩倉スキー場 スキー場の夏季利用 (26日)
 上越新幹線の上毛高原駅を下り、車で約1時間半。群馬県片品村に到着。
 昼食後、スキー場の夏季利用調査のため、尾瀬岩倉スキー場へ。一見何の変哲もない、夏場のスキー場ですが、昨年度から植えているゆりによって夏場の観光客誘致の努力中でした。スキー場に車で入っていくと、いたるところにゆりが植えてあり、作業しているわりと高齢のみなさんが20人以上いらっしゃいました。茎は伸びていましたが、まだゆりのほうは咲いておらず、実際の観光客の入れ込み状況等は見ることが出来ませんでしたが、満開の際はかなりな観光スポットになるのではないかと思いました。
 
スキー場のゲレンデで
ゆりを植えている作業員
ゆり園のパンフレット
 
 契約内容は具体的には訊けませんでしたが、ゆりを植えているのは造園業者で、そこからあがる入園料は造園会社の収益になります。スキー場は場所を提供する代わりに、レストランやお土産販売での収益が得られる。という一種のビジネスマッチング的な取り組みでした。うまくいけば両方共に利益が出る賢い取り組みだと感じました。
 また、問題点として、鹿やイノシシの被害が本州でもやはりあるようで、脇のほうはネットで囲まれていました。
 ぜひ阿寒湖でも下記の取り組みとして提案していきたいものでした。
 
日光尾瀬国立公園の自然環境教育
 
トレッキングや登山が楽しめる国立公園の全図 しっかりと管理されている木道

 
 麓の町から定期バスと乗り合いバスでしか行けない、特別自然保護地区の日光尾瀬国立公園。麓の町から車で30分ほど山に登り、私も目を疑うほどの雪渓の中にあります。季節的には阿寒より1ヶ月遅い春という感じ。公園内は環境省のビジターセンターがあり、厳重な規制の下、しっかりした木道の敷かれたトレッキングロードがあります。中心にラムサール条約にも登録された湿原があり、その近くに冬場は10m近い雪に埋もれる山小屋が4棟ほどあります。公園の中は本州とは思えないほどの巨木や風景がひろがり、たくさんの観光客でにぎわっていました。
 一昔前は観光客の多さで自然が踏み荒らされて荒廃してしまったという歴史もありますが、今は木道のおかげでかなり自然の復元が図られた、ということです。やはりこのような管理や木道が観光地化した自然公園にはどうしても必要ですし、またその中に人間が入って、自然とふれあい考えることの重要性も感じました。
 
※ここまでが阿寒クラブで行った会派の視察、以下は個人で行った視察です
 
埼玉県草加市 市役所での郵便切手販売 (29日)
 通常役所内で販売している切手類は職員の互助会で運営しながら収益を挙げている。草加市役所では以前から互助会が存在しなかったため、役所の窓口で販売をしようと考え、当初は特区申請をして総務省から断られたが、粘り強く継続した結果、法律上に役所の窓口で販売してはいけないという決まりがないことから逆転し、特区でなくても扱えるという解釈になった。国の官庁は頭から、「だめだ」と言おうとしているのが目に見えるが、それを覆そうと努力した草加市役所は立派である。ナイストライ!
 
東京都千代田区 千代田区生活環境条例
 全国で初めてタバコのポイ捨てや路上喫煙に過料2,000円を徴収して有名になった千代田区でありますが、そこへ突撃し、実際のパトロールにもご一緒させていただきました。
 まずは事務的なお話から紹介します。生活改善巡回導員(以下、巡回員)は、路上喫煙が16名、違反広告物が4名、放置自転車が12名の計32名体制だそうです。指定地区認定は地域住民から希望のある地域だけ指定し、地域住民と一緒になって活動している。皇居を除いた千代田区の面積の56%が路上禁煙地区として指定されている。巡回員は警視庁のOBを非常勤職員として採用している。月給27万円(交通費込み)で月16日の勤務である。事前の周知期間は経費をかけたが全く意味がなかったらしい。アンケートでは喫煙者のケアとして、喫煙場所の設置を多く求められている、とのことでした。
 次に実際のパトロールの感想から。巡回員は男性2人組みでコンビだそうで、私は付属として一緒に黄色いジャンパーを着て参加しました。区役所をすぐ出て、くわえタバコをした外国人を発見。「過料2,000円です」、というと急に「日本語わかりません」とか言い出した。巡回員も慣れているらしく、「もうしないで下さい」といいその場を後にしたが、外国人が捨て台詞に「日本の法律は日本人が守れ」と言ったのを聞き、個人的にここは治外法権じゃないぞ、と少し憤りを覚えた。その後、表通りには人は多いが周知が徹底されているのか、全く違反者がおらず、巡回員のおじさんが「じゃあ、行きますか」と路地裏に入っていった。するとすぐに違反者発見。改善処置命令書にサインしてもらい、領収書を渡して、過料を徴収した。わりとすぐ済んだ。その後すぐにまた違反者発見。いかにも理屈をこねそうな人だったが、「ここが新しく指定された場所だとは知らなかった、周知しないのが悪い。」と言う具合に過料を払ってからさんざん文句を言い、巡回員を表通りまで連れて行って裏通りにサインがないことなどをしつこく攻めた。その様子は自分が歩きタバコが悪いのではなく、周知をしないのが悪いという、自分の行動を棚に挙げた理屈だった。「警察署と区役所に苦情の電話をする」といって去って行ったが、帰ったときに本当に電話が来ていた。靖国通りに出て少し歩くと、止めてあるスクーターの上でタバコを吸っている若者を発見。その若者に「過料をいただきます」と言うと、一目散に彼の勤務先であろうショップの中に逃げ込んでいった。しばらく待っても出てこない。巡回員から聞く話によると、以前も同じことがあったのだという。なので今回は逃がさないと思ったのだろう、しばらく粘ってから他の店員に聞く。その店員は「いません」と平気な顔で言い返す。だが本人が出てくるまで動かない。通りには大勢の人が歩いており、目立つ服装で入口を固める巡回員を見て、ここの人は違反して中に逃げ込んだんだな、ということが千代田区で働く人たちには一目瞭然であろう。しばらくして他の若者が出てきて、今にも殴りかかりそうな勢いでガンつけている。どうやら中で隠れている若者に、俺が追い払ってやるとかなんとか約束したのであろう。ものすごい勢いで怒りながらしっかりと理屈もこねる若者に、慣れているのか2人の巧みなコンビネーションで遂に説き伏せ、違反した若者を連れてきてもらい、過料は徴収しなかったが反省を促した。最後には若者二人とも「すいませんでした」と謝ったのには私も驚かされた。巡回員のおじさん曰く、「過料を徴収するのが目的ではなく、こうして反省してもらうのが目的なんだ」と言った。本当にそうだと思う。過料収入は年間で2000万円弱、その反面経費は9000万円ほどかかっている。過料収入を当て込んでいたら到底やっていけない。やはり人間にはルールが必要であるし、一部の正直者がバカをみないように助けてあげることが現代日本では重要なのではないだろうか、と私はパトロールを経験して感じました。こういう強い公務員も必要ですね。
 
周知用看板 巡回用ジャンパーを着た私 一緒に付き合ってもらった巡回員のお二人

 
東京都霞ヶ関 官庁訪問
 なかなか専門的な内容になるので、大まかな行程だけをご報告します。
 まず、内閣官房の構造改革特区推進室を訪問し、構造改革特区と地域再生プランについて説明を受けました。その中で幼保一元化に注目し、厚生労働省を訪問し、今国会で閣議決定された認定こども園について調査し、資料をいただいてきました。
 その後、農林水産省に行き、バイオマスタウン構想の担当者の説明を受けました。
 
東京都八王子市高尾山学園 不登校児のための学校 (30日)
 新宿から1時間半、東京の奥地高尾にある高尾山学園を訪問してきました。この学園は当初構造改革特区の一つとして認定され、この学園の実績により、不登校児のためにカリキュラムや出席日数が緩和された学校が全国的に認められた、という経緯があります。
 開校にあたって、廃校になった小学校を利用しています。当初は他の市町村からも受入をしていたようですが、現在では八王子市の子供だけを対象にしています。学校に来させる、ということを基本とし、試行錯誤を繰り返しているようですが、最近ではかなり教育の方針も確立されてきた、と言うことでした。この学校は、国の法律で決まっている教師の配置基準以上の人員を配置し、市が負担する形をとっている。スクールカウンセラーや研修生などのチューターがそれである。実際私は生徒と接することはできませんでしたが、いろいろと教育には現代的問題もあるのだと感じます。
 
補足 (先方の都合で視察ができず、電話やメールでの応対になったところ)
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